最良のハードボイルド

映画「ヒート」を見た。

 

2時間51分が全く長くない、さすが名作の誉れ高い良い映画だった。

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正直、最初は80年代後半的なチャラいシティ派ハードボイルド感が鼻についていた。フェミニズム的には「甘すぎる」世界観というか。

 

でもじっくりと1人ずつのドラマを描いていく。こいつにも、こいつにも、ダメなりに思いがあって生きているという事を理解していく。

デニーロですら、こんな調子のいいセリフを吐く。

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しかし、しかしこの台詞にすごく共感してしまうのも事実。この歳になり、守るものもないと生きる意味の重さに改めて感じ入る。

 

描写がとても丁寧なのがわかる。このシーン、特に市街戦のところはまるで実際の戦場動画を見ているような残響だ。発砲時のM16の放射状に光るところとか、どうやって撮るんだ、これ。

 

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しかし、ただそれだけで無い事に驚いた。まるでクラシック映画、なんだろうカサブランカのような悲恋ものの世界が突如現れる。しかも違和感なく。すごい。

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ろくでもない奴の精一杯の生き方なのだ、という意味で最後は警察が勝つエンディングも、きちんと世の条理を踏まえている。それでいいのだ。

ほとんど余韻を感じさせないラストといい、最高でした。